アメリカにおける修士号の立ち位置

たまにというかよくというか「修士号は中途半端な学位」「修士号は落ちこぼれが行くもの」という意見を見てはイラッとするので、今回はアメリカにおける修士号の立ち位置を簡単に記録しておこうと思います。アメリカで修士号を取得してもいないのに偉そうなことは言わないでください。

アメリカでは(主語が大きい)取得している学位ごとに、得られる仕事が大きく違います。アカデミアのことはよく知らないですけど、インダストリー系だとまずは修士号という考えが多くの業界で浸透していると思います。もちろん学士号だけでサバイブしていけるところもあると思いますが、修士号がないと話にならないところの方が多いと思います。

例えばわたしが少し首を突っ込んでいた高等教育界隈。修士号がないと大学で働くのはかなり厳しい。だからStudent AffairsとかHigher Educationなどの修士の学位があるのです。まぁアメリカの大学職員は修士持ちがやっている仕事っていうのを知らない人が多いと思いますが、現実はそういうことです。まずは修士を取得してから、スタート地点なんです。

わたしの修士時代のアメリカ人同級生たちは学部卒で3−5年くらい教育関連の会社などで経験を積み、そんで修士プログラムに入学し、キャンパス内のオフィスで院生アシスタントとして経験を積んでいました。そんで大学に就職するというのが王道なルートです。アメリカの多くの大学の各オフィスではAssitant DirectorやDirectorの役職に付くためには最低修士号、良い大学だと博士号を持っていないと話にならない世界です。だってそもそも求人票に書いてあるんですもん、修士号がRequiredとかって。

わたしが知っている人たちでは、まず高等教育や国際教育の分野で修士号を取得して、大学でアドバイザーやコーディネーターなどの役職で5年〜10年ほどキャリアを積み、なんらかのタイミングで大学の福利厚生で博士課程に入学します。フルタイムで大学で働きながら、博士課程の授業をパートタイムで受講して卒業を目指す。こんなことをやっている人は本当にたくさんいます。

だから実務家が出世コースのキャリアのスタート地点に立つために最低限必要なのが修士号っていうことです。

MBAなどもこういう感じだと聞きました。ファイナンスとかコンサル系で大きな会社で出世を目指すのであれば、MBA取得がスタート地点。MBAを持っていないと、出世を目指す役職にすら就けないらしいですよね。高等教育も全く同じのように見受けられました。

アカデミアや研究職だと博士号がないといけないというのはよくわかりますが、インダストリーだとこういうことです。たまにアカデミア界隈から修士号は使い物にならない的なご意見をお聞きしますが、アカデミアの外の世界も知っていただきたい。アカデミアで使い物にならないだけで、価値がある分野もあるんですよ。

またわたしは修士号はキャリアチェンジをしたい人にもちょうど良い学位だと思っています。例えば学部の時に勉強していたこととは違う分野でキャリアを積んでいきたいと思うとします。だけどその分野で実績もないのに博士課程に行くのはあまりにも無謀だ。そんなときに学部と博士課程の綱渡し的な存在になってくれるのが修士号だと思います。よっぽどの大きなキャリアチェンジじゃない限りは、修士課程は他分野からの入学に寛容的だと思います。

わたしが言いたいことは以上です。アメリカの修士課程のプログラムは高いですが、行く価値はあると思っています。わたしは修士号を取得したことで、自分がどんなキャリアを積んでいきたいのか、よりビジョンがクリアに見えるようになりました。学部卒の時はこのビジョンが見えていませんでしたからね。

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